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映画、コミックレビュー 「エヴェレスト 神々の山嶺」(超ネタバレあり) [イベント]

山関連の映画で「エベレスト3D」に続き、邦画「エヴェレスト 神々の山嶺」を観たのですが、う~~~ん・・・というまま時が過ぎ、もやっとしたままでは嫌なので、評判のいいコミック版を大人買い♪

すっきりしたうえに感動して涙まで出たので、余りに酷評されてる映画版をフォローしたいと思います^^;

映画『エヴェレスト 神々の山嶺』2016年3月12日全国ロードショー
出演:岡田准一 阿部寛 尾野真千子
ピエール瀧 甲本雅裕 風間俊介 テインレィ・ロンドゥップ 佐々木蔵之介
原作:夢枕 獏「神々の山嶺」(角川文庫・集英社文庫)
監督:平山秀幸  脚本:加藤正人  音楽:加古隆 主題歌:イル・ディーヴォ「喜びのシンフォニー」(ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル)
製作:「エヴェレスト 神々の山嶺」製作委員会  
配給:東宝/アスミック・エース 
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<あらすじ>
 山岳カメラマンの深町(岡田准一)は、ネパールの首都・カトマンドゥで古いカメラを発見する。それは、イギリスの登山家ジョージ・マロリーは1924年にエヴェレスト初登頂に成功したのかという、登攀(とうはん)史上最大の謎を解く可能性を秘めていた。カメラの行方を追う深町は、一人の男に辿り着く。孤高の天才クライマー、羽生(阿部寛)。突然日本から姿を消して消息不明だった彼が、なぜカトマンドゥにいるのか…。
 羽生の目的に興味を持ち、その過去を調べるうち、深町は彼の生き様にのみ込まれていく。そして、羽生に人生を翻弄されながらも、彼を愛し続ける女性・涼子(尾野真千子)と出会う…。二人の男と、一人の女。それぞれの運命を変える、山岳史上最大にして、最も過酷な挑戦。
己の人生を賭けて挑む“宇宙に一番近い地上”には、何が待っているのか?

映画版の感想・・・
あまり先入観情報なく観ました。俳優の阿部寛さん、岡田准一さんも好きなのでカッコイイ山映画が見れるかな~程度で。初めの方はちょっと影のありそうな深町がネパールの街並みに溶け込んでいて謎めいていてイイ感じ。エベレストの壮大さ、いきなり滑落シーンもありで山の怖さも見せつけられます。
日本で行方不明となっていた伝説のクライマー、羽生に似た謎の男。骨董屋に置かれていた古いカメラの謎。
いい感じで進行していったのですが・・・
羽生を知る女性、涼子が現れた辺りから雲行きがあやしくなってきましたよ。わかりづらいまま物語が進行していき、なぜそうなった???というシーンが続き、あれよあれよという間に視聴者は置いてけぼりに。

まず登山したことがあるのならば、その格好でエベレストは無いよねっていうドン引きから・・・
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いくらモンベルがスポンサーだったからといっても、それは山ガールスタイルじゃないでしょうかっていう^^;;ザックも軽そうっていうかぺちゃんこだし。ハイキングみたいです。
山をなめてるとかいう意見もあり、10人に1人は死ぬというエベレストに挑むにはあまりにも軽装すぎました。

俳優さんは標高5200mの現地で撮影するために、低酸素トレーニングも行い、大変な撮影であったことは間違いないですが、その過酷さを映像で伝えるのは大変なことです。女優さんの顔を隠しまくるわけにはいかないでしょうが、せめてヘルメットや、ゴーグルや手袋、ウエアはもう少し配慮が欲しかったですね~;;

2度目のエベレスト、ベースキャンプまで行ってしまう涼子さん。
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ニット帽子にはなりましたが、シェルパのじーちゃんと深町の帰りを待つ。エベレストに向かって何故奪うんですか~~~と泣き叫ぶ・・・大切な人、兄、羽生、深町が飲み込まれていく山に恨み節・・・
宗教観の違いかもしれませんが、なんだか薄っぺらいシーンになってしまいました。

そして単独南壁冬期無酸素登頂をやり遂げ、渾身の想いで山の神となった?羽生。
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ここ笑うとこじゃないですから~~~;; でもどうしてどうしてそうなった~氷づけになった羽生。阿部寛さんの人形ではなくご本人だそうです!それはすごい!
目を見開き、しっかりとした信念の塊。残された日記、深町からもらっていた食料。深町と再会、魂の対話が行われ、マロリーのフィルムがそこにあると伝えられる。

深町の答えは・・・

「どうでもいい」

が~~~~~~~~~ん!!!

この映画の評判がよろしくない原因がその一言に集約されています!台無し!マロリーが登頂していたかなどどうでもいいと言っていた羽生が、マロリーの遺体のそばにいたのは、深町の為にフィルムを確認するために立ち止まったのかもしれないのに、どうでもよくなったとはひどいのでは???

言いたいことはわからなくはないです。山岳カメラマンの深町はスクープをとるために滑落する仲間さえにもシャッターを押し続け、必死に生きてきた。しかし羽生に出会ってからというもの彼の過去を知るほどに、彼に魅せられていき、エベレストで羽生と体験した過酷さが忘れられなくなっていく。羽生が行方不明になってからも深町の空虚さはむなしく、寂しく、あの山があの男が忘れられず苦しむ。会社の為とか特ダネとかを得る生き方をどうでもいいと思っていたのでしょう。

エベレストに行ったことで価値観が変わったことはあるのかもしれませんが、その辺の心境の変化がうまく表現できていませんでした。せめて回想シーンを入れるとか、涼子に苦しさを打ち明けるとかがあってほしかったですね。

余りにも省略されていたので、気力を無くしていた深町が何故「俺は生きる!!」といってブツリとラストシーンになったのか重ね重ね残念でなりません。モヤモヤモヤモヤ・・・・・これで終わりは無いでしょう~~!
エンディング曲もオペラ調で、壮大なはずが、不幸なことに阿部寛さんのヒット作テルマエロマエが何故か連想されて、せっかくの熱演がかすんでしまうのですよね^^;

目を覆いたくなるような酷評の数々、素晴らしいキャスト、ロケーションを揃えていながら勿体無い!
そこで登場!原作版~~~♪
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羽生がなぜ登山をするようになったか、生きざまが丁寧に描かれています。深町が羽生に惹かれていく過程も、丁寧に描かれています。涼子は羽生の恋人でしたが、深町も涼子に惹かれのちに恋人同志になります。

山岳カメラマンの深町は山屋でもあり、トレーニングをしてエベレストに挑みます。羽生が戻ってこなかったときの登山は別の登山者に通報され、深町は無許可の罰金と登頂禁止を言い渡されます。

日本に戻ってからの深町は、きちんと羽生の記事を書き、認められます。その仕事で得た収入で罰金の清算を行い、長い時間をかけてシェルパへ手紙を出し協力を交渉します。深町がうなされ、悩んでいる姿を見て、涼子は行ってもいいのよと理解を示します。ようやくシェルパからOKをもらった深町は再びエベレストへ。
無事単独登頂を果たします。
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なぜ山へ登るのか?なぜ生きるのか?そんな考えさえも超越する体験が深町を包む。
そして下山の途中、マロリーの隣に鎮座する羽生と対面する。羽生の魂は生きており、羽生が記した記録や深町が渡していた食べ物がポケットに残っていることを教えられる。そしてマロリーのフィルムがあることも。

羽生の圧倒的な生き様を見せつけられ、想いを新たに下山を決意。羽生の想いも持って帰ると。コミック版の神々の世界では映画の初めで滑落した深町の仲間の二人の御霊や、羽生のパートナーだった涼子の兄の御霊もごくごく自然に登場します。迎えにきたのか?もういいか?まだだ、自分頑張ったよな?まだか?あっちいけ。そんな対話をしながら生死の狭間をさまよいます。岸(涼子兄)には素直な羽生が人間くさいです。

帰国した深町は登頂を果たした羽生の記録、その命がつきるまでの想いをきちんと記事にしていきます。そしてマロリーのフィルムをついに現像し、浮かび上がってきたものは・・・・

素敵なラストだったと思います。フィクションであり、実際には見つかっていないものですが、羽生に山の生き方があったように、深町にも山岳カメラマン、ライターとしての生き方があり、命がけで手にした確証には一生賛辞が贈られることでしょう。苦しかった自分との闘い、思い、達成感は、男の生き様として共感する方も多いのではないでしょうか。女性の私には理解はしても願望はないですけれど^^;

マロリーは言いました。どうして山に登るのか?
「そこに山があるからだ」

羽生はこうです。
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男性は生存本能が強いのでしょうかね?生きた証、DNAを残したい?私はよくわかりません。
羽生には実在のモデルがいたそうです。
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本物の山屋さんはなにかひとくせもふたくせもありそうですね~
実在の弟さんは実兄の話そのままでやってほしかったとツイッターでコメントされたようです。

映画は映画として良いところもありましたが、伝わらず残念な所がいっぱいあって惜しかったです。
監督さんは羽生と深町のラブストーリーと公式に載っていましたが、捉え方も残念でした^^;

エベレストと言えば気象、宗教的な理由やヘリが近づけないなどの理由で、今も150人くらいの遺体がそのまま残されているそうです。遺体が目印になっているなんて知らなくて、衝撃を受けました。
決して美しいだけの山ではない、人は何に魅了されるのか?色んなことを考えさせられる時間でした。



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